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社会保険労務士 須田事務所  > Q&A 事例集

Q&A

Q1

年次有給休暇の買い上げをしたいのですが、できますか?

A1

(回答)有給休暇の買い上げは禁止されています(労働基準法による)
 
 有給休暇は本来、1年間の労働による疲労を解消するために休日とは別の休みを設けるものです。それを買い上げ(=お金に換える)ということは制度の趣旨に反し、たとえ合意の上であっても認められません。
 
 ただ、例外として
 
 ①法定休暇を上回る日数の年次有給休暇
 ②2年間の時効や退職などによって請求権が消滅する場合
 
 の2点は、この限りではありません。
 
 ①の具体例として、法定休暇が10日のところを11日与え、このうち1日を買い上げるような場合です。
 
 ②は、消滅すべきものを買い上げるということで、事前の買い上げとはならず、有給休暇取得を妨げるものとは異なるので、労働基準法違反とはならないとされて おります。

 

Q2

(質問)当社は3ヶ月の試用期間を設けています。2ヶ月ほど前に中途採用した社員を解雇したいと思っています。試用期間内なので“解雇予告”は不要と考えてよいのでしょうか?

A2 (回答)30日前の解雇予告または30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要

試用期間を設けている会社は多く、試用期間内であれば自由に解雇ができると思われている事業主さんが多く見受けられます。

しかし、労働基準法第21条では、試用期間中の者に対しても、雇用期間が14日を超えていれば 「解雇予告」が必要と定められています。ですのでご質問の従業員についても、30日前の解雇予告または30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要です。

なお、解雇とする場合についても、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働基準法第18条の2)と定められています。

解雇をする際は、

会社としても雇用を継続するための何らかの努力(勤務態度不良の場合は再三の注意を与える

能力不足の場合は研修等を受けさせる

適性が見られない場合は配置転換を検討する等)

をした上で判断を行う必要があります。

解雇を行うことは、大変に難しい時代となりました。解雇を検討される場合は、お気軽に当事務所までご相談ください。

Q3

従業員が、自家用車通勤時に重大事故を起こしてしまいました。その従業員は自動車任意保険に未加入で、被害者が会社に賠償請求してきました。会社には賠償責任があるのすか?

A3 (回答)会社も賠償責任を問われることがあります。

 自家用車を業務にも使用している場合は、責任を問われる可能性が高いと思われます。

 通勤のみに使用していることが明らかな場合、会社の責任は問えないとする判例がほとんどです。
しかし平成10年8月5日福岡地裁判決では、マイカー通勤を会社が認めたことだけをもって、使用者責任を認めた例もあります。
 
 また、通勤手当としてガソリン代を提供したり、駐車場を提供するなど自家用車による通勤の便宜を図るようなことをしている場合も、責任を問われやすくなります。

いずれにしろ、マイカー通勤を認める場合、会社側もしっかりと管理をしておくことが必要です。
 
 マイカー通勤管理規程の整備は必須と思われます。






事例1

上司の事前承認がない場合の残業に対して、残業手当を支払わなかったら・・・。

 会社の就業規則等により、残業を行うには、所定の用紙に必要事項を記入し、使用者(上司)の承認を受けなければならないと定めているところが多いかと思います(事前承認の手続き)。

 しかし、事前承認の手続きがとられず、業務量の多さにより社員が自発的に残業をし、事後に手続きをすることもあると思います。この場合、残業手当を支払っていますか?支払わず、トラブルに発展する事例も起こっています。

 通常、就業規則等により残業は「業務上必要ある場合に命じる」と定められています。逆にいえば、使用者(上司)の残業命令によらない労働は、本来、残業とはなりません。
 しかし、実際の仕事の現場においては、必ずしも常にこれらが行われているわけではありません。むしろ、使用者(上司)の残業に対する暗黙の了解のもと、社員が業務上の必要性を感じ取って残業を行い、使用者(上司)がそれを事後に承認することが広く行われています。また、到底所定労働時間内に終えることのできない業務量を与えているようなこともあり、この場合も暗黙の指示があったものとみなされます。


 このことからも、残業をしていることを知っておきながらこれに対し異議を唱えなかったときは、黙認があったと考えられ、事前に承認していないことを理由に、また所定の手続きをしていなかったことを理由に残業手当を支払わないということはできません。

 このようなトラブルを避けるためにも、上司が部下に与える業務量に対して労働時間がどの程度かかるかについて的確に把握・管理し、残業はできるだけ事前の業務命令により行わせ、適切な指導を心がけていくことが大切です。ただし、個人の能力不足や経験の浅さ等によって、残業に至ってしまうこともありますので、この場合は、適切かつ十分な指導を行い、それでも改善がみられないときは、配置転換等の対応策も必要になってきます。

 以上のことを徹底させることにより、無用なトラブルだけではなく、一人ひとりの無駄な残業を削減していくことも可能ですし、今までの業務内容を改善していくにも有効な手段にもなります。

事例2

就業規則を金庫にしまっていませんか?

 就業規則は作ってあるものの、金庫にしまって誰も見ることができない状態になっていませんか?

 もし、従業員が就業規則を自由に見ることができない状態となっている場合は、この就業規則は効力が否定されるかもしれません。

 労働基準法第106条第1項では、「使用者は、(略)~就業規則~(略)を、常時各作業上の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。」と定めています。このため、就業規則を金庫にしまったままだと、労働基準法違反に問われることになります。
就業規則の周知を行わないからといって、必ずしも効力が否定されるわけではありませんが、懲戒解雇など従業員にとって重い処分を科する場合は、周知していなければ無効とされるおそれがあります。

 平成15年には、就業規則の周知を怠ったことにより効力を否定した判決が最高裁で出されました。(フジ興産事件 平15.10.10 最高裁第二小法廷)
 この事件では、エンジニアリングセンターに勤務していた従業員について、職場秩序を乱したことを理由に懲戒解雇処分を行ったところ、従業員はエンジニアリングセンターに就業規則が置かれていなかったこと(本社のみに置かれていた)を理由に懲戒解雇の無効を主張し、企業側が敗訴したものです。

 就業規則は、会社のルールブックです。これをしっかり活用することで、社内の秩序が守られ、従業員も安心して働くことができ、それは業績向上にもつながることになります。就業規則は、ルールブックである以上、明確な書き方をしなければなりません。あいまいな内容は、トラブルの元となります。

 ひな形就業規則をそのまま使用されている事例をよく見かけますが、ひな形就業規則は広く適応できるよう、  中~大企業向けの内容で非常に大まかな書き方をしており、いざというときには役に立ちません。場合によっては、会社の足を引っ張ることにもなります。

 就業規則は、会社の実態を踏まえた上で慎重に作り上げる必要があります。

 就業規則の作成や見直しは、労務管理の専門家である社会保険労務士までご相談ください。

事例3

成績不振の社員の給与を下げたら不満がでてきたのですが・・・

原則的に、就業規則の中に給与の引き下げに関する規定がない場合は、社員の同意なしに一方的に給与を下げることはできません。逆に、就業規則に給与の引き下げに関する規定がなくても、社員の同意が得られれば給与を引き下げることは可能です。
今回の事例(規定がない)の場合は、本人が納得のいくまで話し合いを持ち、同意を得なければ給与の引き下げはできません。
しかし、必ずしも社員が同意してくれるとは限りませんし、明確な基準がなければ、社員は納得しないでしょう。社員との信頼関係を保ちつつ、どうしても給与を引き下げたいのであれば、やはり就業規則に給与の引き下げのルールを定めておくことと、人事考課の整備が必要になってきます。
新しい会社等で、これから就業規則を作成するのであれば、特に問題はありませんが、現在の就業規則に「給与引き下げ」の規定を盛り込んだものに変更するのであれば、注意が必要です。
社員は、「不利益な内容に変更された」と感じてしまう可能性があるため、時代の流れや社会情勢等を十分に説明し、決して給与の引き下げを前提にしているのではないと、社員の理解・納得を得ておく必要があります。また、就業規則に盛り込んだからといっても、もし給与引き下げの対象者がでてきた場合、明確な説明をすることはトラブル防止のために必要です。以上、就業規則の作成・見直し等、詳細はお気軽に当事務所までご相談下さい。
事例4

フレックスタイム制度で深夜労働が多く発生した場合、割増賃金はどうなりますか?

 フレックスタイム制は始業、終業の時刻を従業員の自主的な決定に委ねる制度です。

 全員出勤を義務付けるコアタイムを設定することは可能ですが、コアタイム以外の時間については労働の強制はできません。自らの判断で出勤するように要請はできますが、それに応じないからといって、原則懲戒はできません。フレックスタイム制では出勤の強制ができない代わりに、1日8時間、1週40時間を越えて労働しても、ただちに時間外とはならないのです。


 1ヶ月(労働時間の清算期間)を通算して、法定の労働時間を超えた場合にはじめて時間外労働が発生します。(法定労働時間=40時間×月の暦日数÷7日)


 フレックスタイム制でも休憩、休日、深夜労働に関する労基法上の規定は適用されますので、夜10時から翌朝5時までの深夜時間帯に労働した場合は、2割5分以上の割増賃金は当然支払わなければなりません。


 ここで深夜労働についての割増賃金の支払い方ですが、フレックスタイム制を導入していない場合は1日8時間を超えた時間外労働の割増賃金2割5分+深夜労働の割増賃金2割5分の合計5割増となります。


 しかし、フレックスタイム制の場合はすべて単純に5割増になるわけではありません。


 まず、深夜に労働した分も通常の労働分に加算し、1ヶ月の総労働時間を算出します。その総計が1ヶ月の法定労働時間を上回っていれば、その分について125%の割増賃金を支払い、深夜労働分については25%増しの賃金だけを支払います。100%の部分については1ヶ月の総労働時間に加算することで、既に支払われているので改めて加算する必要はないのです。

 


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